それは初めて出かける町に向かう急行の乗り換え駅で起きた。
最寄り駅から数駅先には、複数の路線が乗り入れる大きな駅がある。
ここで乗り換えた経験は実は2回目。初回は回り道を承知で乗り継いだときで、駅ナカに知らない店舗がいくつかあることを知って驚いたものだ。
その時は服を買った。
今回は急行が特急と交互に出発するため、10分以上の空き時間があることは確認済みだった。
何気なく歩いていて、ふと目に止まったのが雑貨屋さん。
近付くと、全品割り引きセール中だった。
ヘアアクセサリーにピアス、ポーチやバッグ、化粧小物など、品揃えは多岐に渡る。
その中で、以前ネット通販で見かけてブックマークしたものとよく似たバッグを見かけた。
うん、これは色もきれいだし、軽くて使い勝手は間違いなく良さそう。
そう思って、鏡の前で合わせてみる。
お値段も下がっていて、これは思い切って買ってみることにした。これから外出予定だというのに。
気に入って手に入れて、帰宅後にじっくり眺める。
そういえば、通販サイトのバッグはどんなのだったかな?と、スマホを手に取って検索してみたら。
あらビックリ、表面のステッチも、ファスナーのパーツの刺繍も、内側のポケットもまったく同じ。
ブランド品どころか、有名メーカーの品ですらないというのに、同一品とみなした方がよさそうだった。
はたして、お気に入りというものは、バーチャルでも実存する店先でも、センサーがキャッチするものなのか。
きっかけのないままお気に入りリストにあったバッグは、こうやって私のものになりました。
まだデビュー前ですが、早く使い始めたいです。