その仕事の資料一式を捨てたのは、振り返ると3年以上前でした。
10年前の夏、私が担当していた仕事は、いろんなしがらみをたちきって、新しい試みを取り入れようとするリーダーが指揮を執っていたのです。
細かく打ち合わせをして、相談し、それは熱心に取り組んだ記憶があります。
その仕事は、私に達成感をもたらしました。
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メンバーも環境も変わり、仕事は少しずつ形を変えていきます。それでも、そのときの仕事は私にはとても大切なものでした。
他の資料をどれだけ手放しても、大事にとっておいたのです。
3年前のそのときまでは。
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私は日々の仕事に辟易していました。十年一日のごとく、同じことを繰り返し、自分が全く成長していると思えないこと。
そもそも成長すら期待されず、このままで充分、もとい気にすらかけられていない、そんな思いに支配されていました。
あのときの仕事は、やりがいもあったのに。どこでどう、行き違いになったのか…
ふと、思いいたりました。
私は、この仕事を続けたくなんかないんじゃないかと。
あの仕事をいつまでも胸に抱いている限り、私はここから一歩も前には進めない。
あのメンバーで同じ仕事をする日は、二度と来ないだろう。やり遂げた気持ちを持つなら、資料などもう不要なはず。
そのファイルを、手放しました。
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同じところをぐるぐると回っているだけだとあきらめていた私。しばらくして担当がえになり、その仕事を離れると決まりました。
思い出のアルバムのようなその資料。ほとんど思い出すことはできません。
後ろ髪すら引かれずに手放せたから、私は次に進めて、今なお後悔は残らない。
過去は通過点。ときどきに成仏させていけば、次のステップに駒を進めることができるのでは。
当時の同僚で、まだ同じ仕事を続けている人もいます。抜け出したかった私は、新しい仕事の経験を積みながら、自分の壁を感じつつも、別の道を歩んでいます。
あの時、すっきり捨てたことで、自分の気持ちがはっきりしたんだと思います。