国が定めた基準を満たす認可保育園に入園を申し込みながら、枠がなくて「待機児童」になっている子供の数が、相変わらず高水準です。
都市部やそのベッドタウンでは特に顕著です。自治体は定員を増やしたり保育施設を新設して対応していますが、需要が供給を上回る傾向が続いているため、解消は難しいようです。
報道をみると必ずでてくるのが「不況により共働きのニーズが強まったため」という分析です。
子供を預けてフルタイムで働き、ただいま育休中の立場から感じるのは、「
不況、という言葉を使っている限り、待機児童問題は解消しないな」ということです。
不況というのは、経済の状況が芳しくないこと、好景気の対極の状態です。
保育園を整備する自治体、もとい保育行政を政策面で主導する政府の立場では、不況とはあくまでも一時的な現象、という言い分を持つはずです。
もっというと「日本の不況は当面続く」という認識は(内々でひそかに共有されたとしても)表にはでないでしょう。
それは経済政策に手をこまねいていることを自ら認めることでもあり、国の発展を放棄しているのと同義と受け止められるからです。
折からの少子化時代、一時的な不況によって共働きが増えているだけなのであれば、設備や人材等に予算を振り向けて保育施設を整備する必要はない、そういう論法が可能になります。
ほとんどの自治体は財政難に苦しんでおり、箱ものと有資格者の雇用を要する保育施設は、なるべく増やしたくないのが本音のはずです。
では共働きニーズというのは、どこから来るのでしょう?
女性のキャリア志向、男性の収入の伸び悩みに伴う家計補填ニーズ…いろいろな切り口があると思います。
多くの子育て世代の根底にあるのが「もはや働き手一人の収入で家族を養うのは難しいのではないか」という危機感ではないでしょうか。
右肩上がりの経済は終わり、GDPは中国に抜かれ、欧米先進国はいろんな事情から景気が低迷し、新興国は驚異的な成長力で追い上げてくる。
その中で日本が、高度経済成長期時代のままの「標準モデル家庭」=主にサラリーマンの父、専業主婦の母、子供二人、持ち家とマイカーも…なんてのを維持し続けられるような経済力を持ち得るのか?
今後は無理と思っている人もいれば、とっくに幻想は終わっていると感じている人もいるでしょう。
今年の夏のボーナスも、削減率は過去最高と報じられています。
いくら政府が無策への批判から逃れようと「(一時的な)不況」を理由に挙げたとしても、実際の国民は「経済構造の転換に伴う低成長、もといマイナス成長」を目の当たりにして行動して、職業や家族のあり方を選んでいます。
出生数が減ろうと、人口が減ろうと、出産適齢期の女性が減少傾向に転じようと、出産後も働き続けたい、いや働き続けないと困る、そう感じている女性は間違いなく増えていますし、今後その傾向は強まるでしょう。
自治体の努力を否定するものでは決してありません。
ただ「不況」=いつかは好況に転じるはず、という根拠のない楽観的なものの見方を残したままで待機児童問題や保育政策を考えているならば、国民・住民の意識とのずれは広がる一方です。
例えば子供の有無に関係なく働き続けるのが前提である社会に必要なのは、一時的には長時間労働に対応した長時間保育サービスでしょうが、将来的には労働時間の柔軟性(長さ、時間帯、頻度の設定)、労働場所の選択肢拡大(在宅勤務含む)、場合によっては子連れ勤務を認める、といったものも視野に入ってくるでしょう。
今取り組むべき「待機児童問題」も本来、今までとは違う前提の社会になったという文脈で解決されるべきものではないかと感じます。
…「二人目育児」カテゴリーに参加しているので、子育てについてUPしてみました。お読みいただき、ありがとうございます。
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