同じ家に3年以上暮らしたことがない、という女性が職場の先輩にいました。
デスク上はいつもすっきり。
だからといって素っ気無いわけでは決してなく、話題豊富で、ちょっと面白い雑誌の切り抜きやら、読み応えのある本など、数多くお持ちの方でした。
ご自身で選んだと思わしき、白熱電球のデスクライトがまばゆく、印象的でした。
働き始めたばかりの私は、そんな彼女を参考に、あれこれといろんな情報を集めて保管していたものでした。
でも、いざというときに見つからなかったり、トピックもバラバラで、整理整頓が難しかったり。私にはマメさが足りないのだと自分を責めたりしました。
それにしても、彼女はどうして、持ち物が少ないのに、あんなにいろんな情報を保存し、活用できていたのでしょう?
当時の私には、なかなか分かりませんでした。
今なら分かります。
彼女はキャパシティーに見合った、適量の範囲内で持ち物をコントロールしていたのです。
いえ、持ち物だけではありませんでした。
仕事の進め方も、人生も。
夜型の職場にもかかわらず、夕方にはさっと引き上げる。
仕事が終わらないときは、朝早くに出社して一人で取り組む。
なんとなくだらだらしている人の多い時間帯に、ガシガシ働く。
約束したとき以外の昼食は、買ってきたお弁当を自席で。
もともと堪能だった英語に加えて、中国語も学習、大学院にも進学されました。
彼女が結婚したのは、一回り以上年上の、バツイチですがエリート男性。肩書きを出すことはできませんが、文字通り国際的に活躍する方です。
ご自身のキャリアは、ずいぶんペースダウンされていますが、多くの人がうらやむものを手に入れたことは確かです。
幼い頃からの海外を含めた度重なる転居で鍛えられたのでしょうか。自らの容量を把握すること、要不要を的確に判断できること。
出会った頃の彼女はまだ20代でした。若くして身につけたスキルが、他の人と一線を画した大きな要因になったのは間違いないでしょう。
あれから10数年。遅ればせながら気づいた大切なこと。
「海外の友人を訪ねたとき、トランクから手土産の包みを出したら『どこにそんな大きいものが入れられたの?』と驚かれたの」と笑顔で話していた彼女を思い出すたび、わが身にも問いかけたいです。
手荷物多すぎませんか?
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